個人や社会が成長と熟成を繰り返しながら、量的質的な展開を遂げてゆくことは広く認められた人間社会の発展の姿です。中でも注目すべきは、後になって時代の節目だったと呼ばれる現象、 例えば揺るぎない存在であった天動説が地動説に反転した時のように、既存の枠組が大きく変化する時、人間社会に次なる飛躍のきっかけを与えてきた事です。
ここ二、三百年の我が国に着目すると、黒船開国、大戦敗北が日本を一気に近代化の道へ駆け抜けさせる源泉となったのは歴史的事実といえましょう。そして今、戦後半世紀の高度成長のコンセプトが揺らぎ、大組織の中の価値の崩壊を目前にして、立ち眩み状態にある産業社会と、深い混迷の中で本質的な解決を見出せないでいる次の世代に対し、我々の明解なメッセージとして、言葉の最高の意味における『個人への回帰』と『ダイナミックな活力』を旗印として掲げるものです。
日本のみでなく世界が、新しい発展の源泉を"知的創造性"に求めている事は、否定できない共通の認識です。そのプロセスはそれぞれの社会の特質下で独自のプログラムの創造が求められると思います。産業社会の世界では米国は文化的、社会的基盤と巧妙に同調する仕組みを西海岸を中心に既に産み出しており、我々はこの社会に適応する独自の枠組み構築を進めねばならない状況に直面しています。こうした背景と社会環境より、ここに産業界、学界等で高い"志"を持ち、その上"一芸"の経験を有する人材が、起業家のための日本最初のNPO法人(特定非営利組織活動法人)として結集し、自己の経験を生かしつつ"知的創造性の時代"に向けての発展の萌芽を組織的に育てて行く場を構築することを目的として『ETT創業支援推進機構』は設立され、国(当時の経済企画庁 現在の内閣府)の認証を受けたものです。
この認証に至る過程で官民多くの個人や組織より、推進のための多大なご支援を戴きましたが、このこと自体が将来への共通した懸念と閉塞感を抱いている事の反映と考えたいと思います。縦社会といわれ創造性が育ちにくいといわれる日本の内向き文化の中で、個人の独創的な活躍を中心とするいわば横社会の機能を構築することは、ネットワーク社会となっても極めて困難な作業であると思います。それは優秀ではあるのですが、日本人の中に潜んでいる「過大に和を貴ぶ」強い側面かも知れません。しかし一方で、好むと好まざるに拘わらず、将来に向かって高い次元で生き残るための選択肢が他にあるとは考えられません。価値観の多様性をバネとして、柔軟性に富んだしなやかな活力を呼び戻す「ベンチャーから大企業に至るまで」の起業家のための我が国初のこの技術・事業評価による新規事業支援システムが、我々のささやかな贈り物として次世代の日本の産業社会に芽吹いていくことを心より期待しております。